DDR5を買わずに金とNISAを買って、爆損した

2025年は、賢い大人のつもりだった。金を買い、NISAで投資信託を買っていた。「長期・積立・分散」とか言っていた。

2025年4月、秋葉原ではDDR5メモリ32GB(16GB×2枚)の最安が¥8,580だった。飲み会1回分の値段である。

DDR5は1年半で7倍になった

2025年4月の選択肢は、その後こうなった。

買ったもの2025年4月2026年1月2026年10月増え方
DDR5 32GB¥8,580¥61,980¥59,980+599%
日経平均¥34,730¥51,940¥62,693+81%
S&P500の投資信託¥27,325¥39,785¥44,192+62%
全世界株式の投資信託¥23,365¥33,801¥37,162+59%
金(1g)¥16,788¥24,905¥22,412+34%
ビットコイン¥1,214万¥1,430万¥1,260万+4%

金もNISAも、普通に考えれば大成功だ。1年半で金が34%、全世界株が59%増えて文句を言う人はいない。ただ、隣に+599%がいる。同じ¥8,580を入れていたら、全世界株は¥13,646、DDR5は¥59,980である。誰にも損はさせていないのに、なぜか一番悔しい。気持ち的には爆損である。

ちなみに金は1月の高値から10%、ビットコインも12%落ちている。金さん、ちょっと痩せた?ビットコインに至っては2025年11月の¥1,691万から25%減で、もはや激痩せである。デジタルゴールドがパソコンの部品に負けている。

令和の米騒動で話題をさらった米も、5kgの平均が2025年10月の¥4,209から2026年9月には¥2,934まで下がった。買いだめすべきは米でもなかった。

メモリの値動きはもはや暗号資産

調査の時期最安
2025年4月¥8,580
2025年11月¥11,500
2025年12月¥36,880
2026年1月¥61,980
2026年7月25日¥39,980
2026年10月¥59,980

11月から1月の2か月で5.4倍。金のチャートを眺めて「最近強いな」とニヤニヤしていた頃、秋葉原のメモリはこの動きをしていた。ニヤニヤする相手を間違えている。

Crucialは29年連れ添った客を捨てた

犯人は言わずもがな、データセンターで寝ずに計算しているあの連中だ。TrendForceによると、メモリメーカーは生産能力をHBMとサーバー向けに移しており、一般向けDRAMの契約価格は2026年1〜3月だけで93〜98%上がった。3か月でほぼ倍だ。

象徴的なのがMicronで、2025年12月にCrucialブランドの消費者向け事業からの撤退を発表した。発表文は「29年間」に感謝している。自作PCユーザーと29年連れ添ったブランドが、AIという若いのに乗り換えたわけだ。慰謝料はメモリで払ってほしいが、そのメモリがない。

メモリは「使える金」だった

金は持っていても何も計算してくれない。投資信託はスマホの中の数字だ。その点DDR5は、挿せばパソコンが速くなる。値上がりしている間もちゃんと働く資産である。金の延べ棒で動画は編集できない。

しかも一番儲かった資産の買いどきは、どの投資本にも書いていなかった。買っていたのは「なんか足りないな」と増設した自作PCユーザーだけだ。彼らこそ2025年最高の投資家である。本人たちは投資をしたつもりが一切ないのが、また腹立たしい。

タイムマシンの利用料は¥1,116

ここで秋葉原から少し離れてみる。店頭が¥59,980のこの世界で、ドスパラのブラックフライデー先取りは対象PCの16GB→32GBのカスタマイズが¥9,696だ(11月13日10時59分まで)。

¥9,696。2025年4月の¥8,580との差は¥1,116である。ドスパラの中でだけ、まだ2025年が続いている。1年半前に戻れるタイムマシンの利用料が¥1,116と思えば安い。ただし、乗るにはパソコンを1台買う必要がある。

ドスパラのブラックフライデー先取りの告知。指定メモリ16GBから32GBが9,696円
出典:ドスパラ

店で16GBを32GBに増やす差額は、当サイトの最安の計算で¥35,600。1台につき¥25,904の含み益である。問題は、タイムマシンに乗るためのパソコンを買う金がないことだ。

そしてもう一度やらかす

話はこれで終わらない。2026年7月、パソコンが壊れた。さすがに今度は賢く動こうと、RTX 5070で自作した。BTOの値段はろくに見ていない。自作のほうが安いに決まっているからだ。

このサイトを作って、初めて計算した。組んだPCはRyzen 7 9700X、メモリ32GB、RTX 5070。同じ中身のPCが、FRONTIERで¥333,100で売っている。同じものを部品で買うと¥347,510だ。自作のほうが1.5万円ほど高い。組み立ての手間まで無料で引き受けて、さらに1.5万円払ったことになる。

メモリを買わず、BTOも見ず、2回爆損した。「長期・積立・分散」の分散先に、DDR5は入っていなかった。

注記

・DDR5:AKIBA PC Hotline!の店頭調査による各時点のDDR5-5600 16GB×2枚組の最安で、時点ごとに製品が異なります。
・2026年7月25日の¥39,980:特価
・金:田中貴金属の店頭小売価格(税込、2025年・2026年)の2025年4月18日と2026年10月23日の比
・投資信託:eMAXIS Slimの基準価額の同日の比
・日経平均:同日の終値の比
・ビットコイン:SBI VCトレードの週報による2025年4月19日と2026年10月24日の値
・カスタマイズの対象:機種によって異なります。
・1.5万円:11月1日の新品の値段で計算したもので、7月に払った金額との比較ではありません。
・実質グラボ価格が単体より安いPC:一覧