実質価格で、グラフィックボードをおトクに買おう。

グラボが安い時期は去年の秋だった。今年はサンマと同じで高い

2025年7月10日、釧路の初競りでサンマに1kg25万円の値がついた。祝儀の値段で、その値で競られたのは3箱だけだ。2か月後の9月には、180gほどのサンマが1尾220円で売られていた。前の年の同じ時期は500円を超えていた。

初物は高く、旬は安い。江戸の天明のころ、初鰹1尾に2両2分を払った人がいたという。待てば安くなると分かっていても、初物には払う人がいる。

グラボの値段も、同じ形で動いている。

グラボの旬は発売の半年後

価格.comの週ごとの最安値で、10機種の値段を発売から追った。

グラボ(発売時)底値10月末
RTX 5050 8GB
¥44,800
¥32,700
0.73倍
2025年11月
¥58,000
1.29倍
RTX 5060 8GB
¥55,800
¥41,980
0.75倍
2025年12月
¥77,980
1.40倍
RTX 5060 Ti 8GB
¥69,800
¥52,800
0.76倍
2025年10月
¥81,800
1.17倍
RTX 5060 Ti 16GB
¥80,100
¥69,800
0.87倍
2025年11月
¥142,800
1.78倍
RTX 5070 12GB
¥108,800
¥76,980
0.71倍
2026年2月
¥154,800
1.42倍
RTX 5070 Ti 16GB
¥148,800
¥125,100
0.84倍
2025年9月
¥230,800
1.55倍
RTX 5080 16GB
¥198,800
¥165,420
0.83倍
2025年8月
¥329,800
1.66倍
RTX 5090 32GB
¥393,800
¥396,500
1.01倍
2025年8月
¥1,229,000
3.12倍
RX 9060 XT 16GB
¥67,980
¥50,800
0.75倍
2025年11月
¥84,800
1.25倍
RX 9070 XT 16GB
¥137,800
¥86,436
0.63倍
2026年6月
¥138,800
1.01倍

10機種のうち8機種は、2025年8月から12月のあいだに一番安くなった。発売から4〜7か月後で、値段は発売時の7〜8割まで下がっている。月ごとに10機種の倍率を並べると、真ん中の値は2025年11月の0.77倍が一番低い。去年のグラボの旬は、サンマと同じ秋だった。

外れたのは2機種だ。RTX 5090は一度も発売時より安くならなかった。RX 9070 XTは2026年6月まで下がり続けて、0.63倍になった。

今年は不漁

サンマは今年、獲れていない。10月末までの水揚げは8,632トンで、去年の同じ時期より81%少ない。去年は1年で6万4,738トンが揚がり、1年の平均の浜値は1kg331.6円まで下がっていた。

グラボも今年は高い。値上がりは2回あった。

1回目は2025年12月から2026年1月だ。10機種の倍率の真ん中の値は0.83倍から0.99倍になり、RTX 5080は12月15日の週に発売時の値段を越えた。足りなくなったのはメモリだ。調査会社のTrendForceは2025年9月に、グラボのメモリ(GDDR7)の値上がりが10〜12月に強まると予想していた。メモリを作るMicronは12月の決算で、AIのデータセンターがメモリの需要を大きく押し上げていると話した。AMDがグラボのメーカーに売るGPUとメモリの組を、メモリ8GBごとに10ドル値上げしたとも報じられた。

2回目は2026年8月から10月で、真ん中の値は1.06倍から1.28倍になった。8月1日の秋葉原の記事では、店が「いずれ全グレードで2〜3割上がる」と話している。産業用PCのAdvantechは10月、メモリのメーカーが利益の大きいAIやサーバー向けに生産を回し、GDDR6は減産、GDDR7も足りないと説明した。10月の値上がりには、手元で動かすAIの話もある(グラボはVHSと同じ理由で値上がりしている)。

メモリの多いグラボほど上がった

一番上がったのは、メモリ32GBのRTX 5090(3.12倍)と、16GBのRTX 5060 Ti(1.78倍)だ。同じRTX 5060 Tiでも、8GBは1.17倍で済んでいる。

足りないのがメモリなら、メモリを多く積むグラボほど高くなるのは筋が通る。報じられたAMDの値上げも8GBごとなので、16GBのグラボは8GBの2倍上がる。Advantechも、とくに苦しい機種としてRTX 5090とRTX 5060 Ti 16GBを挙げている。サンマでいえば、大きい魚ほど獲れない年だ。

いつまで高いのか

日本のグラボの値段がいつ下がるかを言い切った会社は、調べた範囲では見つからなかった。メモリには見通しがある。Micronは2026年6月の決算で、メモリの需給は2027年を越えても厳しいと話した。TrendForceは7月に、新しい工場からの生産が大きく増えるのは2028年からだと書いている。

サンマは、去年は獲れて安くなり、今年はまた獲れていない。獲れる年が来るかは海しだいだ。グラボは、メモリの工場が増えるまで、去年の秋のような旬は来ないと思っておいたほうがいい。

不漁の年の買い方

サンマが高い年は、ほかの魚を買えばいい。グラボには、PCごと買う手がある。

11月5日の集計では、RTX 5080の単体の最安は¥331,800だ。フロンティアのRTX 5080を載せたPCは送料込み¥513,100で、RTX 5080以外の部品を別々に新品で買うと¥239,015かかる。¥513,100から¥239,015を引くと、RTX 5080を¥274,085で買ったことになり、単体より¥57,715安い。

RTX 5080のPCは、133機種のうち31機種がこうして単体より安くなる。グラボごとの値段は、グラボ別のページに毎朝出している。

注記

・グラボの値段:価格.comの週ごとの新品の最安値。記録は発売の1〜2か月後から
・10月末:10月26日の週の最安
・倍率:その週の最安÷発売時の値段
・真ん中の値:月ごとに、10機種それぞれのその月の最安の倍率を並べた中央値
・サンマの水揚げと浜値:全国さんま棒受網漁業協同組合
・初鰹:小学館「ことばのまど」(山東京山『蜘蛛の糸巻』による)
・実質グラボ価格の計算:計算方法